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プロフィール
HN:
りんでぃ
HP:
性別:
女性
職業:
スウィング ダンス インストラクター
自己紹介:
 東京でスウィングダンスのインストラクターとしてレッスンやイベントを開催していました。2012年、結婚の為ボストン郊外のNorth Shore へ世界一臆病な黒猫 ミキティと共に移住。

 ここではアメリカでの生活、ダンス事情、ミキティの様子、ふと思ったことなどを綴っていきます。
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今日は、アメリカの現状を長文にてご報告させていただきます。

今日は相方のハウスオークションについて行きました。
ハウスオークションとは言葉通り、家を買う為のオークションの事。今回私達が行ったこの物件は、持ち主が家を購入する時に積み立てたローンを返済していない為、銀行が差し押さえ売りに出しているものでした。
 
なんとこの家の持ち主は1階に住み、2階と地下1階を他の人に貸し、家賃としてそれぞれからもらっていたにも係わらず1年間もローンを滞納していたらしいのです!銀行はもちろんのこと、色々なところからローンを組み、最低でも合計$280,000(約2300万円)くらいは返済していないと予想されるらしいです。こんなのどう考えても意図的犯行じゃないか!!
 
今朝、この家のオーナーの友達から電話があり、「このままだと銀行に家を売られて、家を追い出されてしまう。どうか友達を助けてほしい。この家を銀行から買って、またこのオーナーに売り戻してほしい」という事でした。
そんなに優しい友人がいながら、どう考えても自分に非があるにも係わらず、この家のオーナーは今日という日に備え、近所の人達に ”協力” (=差し押さえをやめさせる為のデモ)を要請していたようです。
 

私達がこの家に到着すると、既に10人ほどのデモ隊がプラカードを持って叫んでいました。
「この家の住人は、絶対に立ち退かない!」
「ここに住む権利がある!」 
「ここの住人を追い出すきか!」 
「良心はないのかっ!」 
「銀行と手を組んんで住人を追い出し、他人を不幸にする事によって利益を得る悪魔め!」
「この大不況は銀行のせいだ。彼らがローンを払えないのも銀行のせいだ!銀行が始末を追うべきだ!!」 などなど。


んんっ!?ちょっと待ってよ。おかしくない!? 
タダで住みたいからって、お金を借りておいて意図的に返済しないのはそっちじゃないのかい?
住む権利があるって、お金を払わなきゃ住む権利はないんじゃないのかい??
こっちは住人が追い出されないようにお願いを聞いてあげているのに、その邪魔をしているのはそっちじゃないのか??? 
確かに現在の不況は銀行のサブプライム問題が発端の一因かもしれないけど、だからといって働かなくても良い、借りたお金を返さなくても良いなんて、そんなムシの良い話はどこにもないよ。ただ単に誰かに責任を押し付け、働かない理由をこじつけているだけじゃないのかい?
そんな、ここのオーナーは自業自得だけど、2階と地下に住んでいる人達は、家賃をきちんと払っているのに追い出されるなんて、道連れジャン。


相方兄や他の不動産屋さん達は、「またか」と言うよな呆れた様子。
相方が、「家を今売れば、買い戻す事ができるから住む所が確保できるんだよ。でも今売らずにこのまま放置しておくと、裁判所命令で最終的には追い出されてしまうよ。売った方が彼らの為なんだよ。君達は助けているつもりでも、実際は助かる道をふさいでるんだよ。」と冷静に話そうとしても、
♪立ち退かない~、住む権利がある~、追い出すなんて悪魔だ~♪ と歌ったり、叫んだりして全く耳を貸さない様子。

デモ隊のうちの一人は、この様子をずっとビデオ撮影し、Facebookに “これがジャスティスだ!” と言わんばかりに沢山のビデオを載せているらしいです。そして、後々の地元の新聞にも「正義は勝った!」と載っていたらしいです。
どう考えても、ちょっと違くない?それ。
「自由がある」とか、「権利がある」とか、そういうのはちゃんと筋を通してから言おうよ。
 
相方も含めその場に仕事をしに来た不動産業やブローカーの人達は、これじゃ何も出来ないとその場を去っていきました。その時点で、ここの住人は春になったら家を追い出され、途方にくれる事が確実となったのです。

近所の人達は住人を救う為にデモを行ったのですが、彼らが主張するようにこれが本当に彼らの為になっているんでしょうか?私には到底そうは思えないです。
しかも、今日は火曜日。デモをしている人達は、このあまり意味のないデモをする為に仕事を休んでいるか、無職かのどちらかです。彼らには、きちんと自分で働いて生活費をちゃんと稼ごうという意欲はないのでしょうか??
 

これが現在のアメリカの大きな問題の一つになっているらしいです。
多くの人がローンを未払いにしたまま、自分の権利を主張して、無料で住んでいる。
オバマ政権になってからいくつか新しい法律ができ、(寒いし、ホリデーシーズンに追い出すなんて可哀想だからという理由で)「冬の間の一定期間やホリデーシーズンは立ち退き宣告をできない」 、または「未払いになってから宣告ができるまでの期間がかなり延長された」となったそう。そしてその時期に合わせて支払いをやめる人が増え、意図的に無料で住んでいる人が増えたという事です。

また所得税の比率も変更になったという事です。
所得が多くなればなる程、所得税の比率も高くなることに。
例えば(あくまでも例えばの数字です)所得が5万ドルの人は5%の税金、10万ドルの人は20%、15万ドルの人は40%、20万ドルの人は60%だったとします。

所得 $5万   → 税金 $25,000 → 手取り $4万7,500
所得 $10万 → 税金 $2万       → 手取り $8万
所得 $15万 → 税金 $6万       → 手取り $9万
所得 $20万 → 税金 $12万     → 手取り $8万
簡単に説明すればこんな感じです。

上記の例えで考えると、1年間 一生懸命に頑張って20万ドル稼いでも、手元に残るのは、15万ドル稼いだ人よりも少ないのです。それ以上に、10万ドルしか稼がなかった人と同額です。
要するに、ある程度までは働くけれども、それ以上は手取りが少なくなり働き損をするために、利益を抑えるという事になります。その為、ビジネスで成功している人や上昇志向が高い人は諸外国へ引越したり、働こうという意欲が下がったり、お金の流通もある程度で留まってしまうのです。

また相方ママが住む Lynn という街。
ここは所得の低い人に、住むところ、着る物、食べる物を無料で提供しています。
中層階級の人は、生きていく為に必死にあくせく働いて税金を払いますが、下層階級の人は無職で税金も支払わずに暮らしていけるという事になります。その為、こちらも同じように働こうと意欲のある人がいなくなり、何もせずに政府のお金で生きていこうとする人がドンドン越してきているらしいです。

働こうという意欲をなくすこの仕組み、そしてお金を借りても返さない人が増える、頑張って働いている人が損をしている気になるという悪循環が発生し、これが現在 アメリカでの大きな問題となっているのです。

(注意) アメリカには国の法律、州の法律があり、必ずしもどこも同じという事ではありません。中には、国と州の法律がかみ合っていないところもあります。その為、他州ではこの問題は少し違う可能性もありますので、悪しからず。
 

実際にサブプライム問題で損をしている人たちもいますが、この新しい税金の仕組みによって、今まで頑張って働いてきた人達が会社を失い、財産を失い、家を失ったという人たちも多いそうです。
これでは国は発展しないどころか、落ちていく一方です。とても深刻な問題です。
アメリカさん、困った物ですね~。




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